市民による手づくりの「第九」

奏で継ぎ、歌い続けて『「第九」のまち佐久』へ

 コスモホール佐久第九演奏会は、『コスモホールで「第九」を歌いたい』とする市民とそれに呼応する佐久地域のアマチュアオーケストラによって担われています。
 ベートーヴェンの第九は、規模、内容ともにアマチュアが取り組むには手強い楽曲であり、全国各地の第九演奏会が管弦楽をプロのオーケストラに依存するところが多い中で、佐久第九は、『地域自前のアマチュアのオケ、合唱団による市民による「第九」』として地域の皆さんに親しまれ、回を重ねています。2022(令和4)年12月の第20回の記念演奏会を大きな節目として、これまで培った基盤を大切にしつつ、より多くの皆様にご参加いただく「みんなの佐久第九」として奏で継ぎ、歌い続けて『「第九」のまち佐久』を目指しています。

コスモホール開館10周年記念事業としてスタート

 第1回演奏会は、2001年(平成13年)12月、コスモホール開館10周年記念事業として、旧臼田町の(財)臼田町振興公社とコスモホール「第九」を歌う会実行委員会の主催で開催されました。合唱参加者が200人を超えたこの演奏会は大評判となり、関係者のご尽力と市民のご理解、ご支援を得て毎年12月の第1日曜日を公演日として回を重ね、今や「師走の佐久第九」として佐久の風物詩に数えられるまでになっています。
経過概要
 2001年(平成13年)12月 第1回演奏会 コスモホール開館10周年記念
 2002年(平成14年)12月 第2回演奏会 新・臼田町誕生45周年記念
 2005年(平成17年)12月 第5回演奏会 新・佐久市10万都市誕生記念
 2010年(平成22年)12月 第10回記念演奏会

     ・『「第九」のまち佐久』を掲げる。
     ・記念ロビーコンサート
 2012年(平成24年)12月 第12回演奏会 前プログラムスタート
 2015年(平成27年)12月 第15回記念演奏会
 2019年(令和元年) 12月 第19回演奏会 

     ・10月、台風によりコスモホールが被災し、長期休館に。
     ・会場を佐久平浅間小学校体育館に変更して開催。
 2020年(令和2年) 6月 新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴い演奏会中止。
 2021年(令和3年) 9月 新型コロナ感染拡大に伴い演奏会中止。
 2022年(令和4年) 8月 第20回演奏会「記念演奏会&映画上映会」
     ・指揮者 栁澤寿男氏講演 映画「ルートヴィヒに恋して」上映
           12月 第20回記念演奏会 指揮者 栁澤寿男氏

■『臼田町コスモホール開館10周年の記念として何がよいかという話が出ておりましたところ、音楽を愛する有志から「手づくりで第九を演奏しよう」という意見が強く出て参りました。この案を町当局で取り上げていただき、多大なご支援によって2月17日250人を越える団員が集まり、月2回の練習を開始しました。・・・』コスモホール「第九」を歌う会実行委員長 伴野淳子氏(第1回演奏会プログラムより)

企画運営から演奏まで市民による「手づくりコンサート」

 演奏会は(一財)佐久市文化事業団とコスモホール佐久第九演奏会実行委員会が主催し、企画運営の中心は、合唱関係者とオーケストラ関係者による実行委員会が担っています。
 演奏は、第1回からアマチュアのオーケストラと演奏会のための公募による市民合唱団にプロのソリストを迎えて行われており、第8回からプロの指揮者を迎えるようになりましたが、文化事業団の深いご理解のもと演奏会の企画運営から演奏までを市民が担う「手づくりコンサート」です。

管弦楽は「佐久室内オーケストラ」

 管弦楽は、第2回を除いて佐久室内オーケストラが担っています。
 同オーケストラは、1993(平成5)年に長野県東信地域における初のアマチュアオーケストラとして創立。昭和30年代から旧野沢町でヴァイオリンを教えていた長岡祁氏(2007年逝去)の呼びかけで、同好の士が集まり、当時野沢北高の音楽教諭だった原博道氏を指揮者に迎えてわずか15名でスタート。昨年創立30周年を迎えています。長年にわたり原博道氏(2013年逝去)の指導を受け、長野県の東信地域を代表するアマチュアオーケストラとして成長。現在は寺島克彦氏が指導・指揮に当たっています。
 創立以来、毎年10月に定期演奏会を行っているほか、コスモホール佐久第九演奏会、スプリングコンサートなどを継続して開催しています。
 創立30周年の昨年の第29回定期演奏会には、元NHK交響楽団ヴィオラ奏者の小野富士氏と東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団コンサートマスターのヴァイオリン奏者、戸澤哲夫氏を招いてモーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲を共演して多くの聴衆の皆様に喜ばれ感銘を与えています。
また、今年4月のスプリングコンサートは、能登半島地震追悼のためのバッハ「G線上のアリア」に始まりモーツァルトの交響曲第36番「リンツ」、ベートーヴェンの交響曲第1番などを演奏したほか、新たに音楽をわかりやすく解説するミニ音楽講座にも取り組み好評を博しています。
 30年にわたる演奏活動ではバッハ、モーツァルト、ベートーヴェンをはじめ幅広い作曲家の作品を取り上げ、東信地域におけるクラシック音楽の旗手として、クラシックの名曲を生で聴くかけがえのない機会を提供してくれる「佐久オケ」として市民に愛され、親しまれています。
 現在団員は約50名、職業・年齢も様々なアマチュアプレーヤーが集まり、オケで演奏することを何よりの楽しみとして、週1回の佐久創造館での練習に励んでいます。

■「思えばその6年前、佐久にオーケストラを立ち上げたきっかけは長岡先生との合言葉だったように思う。あの時の先生との会話で、将来この佐久の地で第九が流れれば楽しいね。是非第九を弾ける位のレベルのオーケストラを作りたいね。そのために協力しましょう。そんな会話をしたように思う。・・・」管弦楽指導、第1回、第3回~第7回演奏会指揮者 原 博道氏(佐久第九演奏会ニュースNo20 H22.12.5より)

スプリングコンサート2024 2024年4月14日 コスモホール大ホール

合唱は「コスモホール佐久第九合唱団

 合唱は、演奏会の都度、団員募集に応えて参加した方々によって結成されるコスモホール佐久第九合唱団が担っています。
 参加者は佐久市を中心に小諸市、南・北佐久、上田市、東御市など主に東信地域からですが、最近では新幹線を使った首都圏からの参加など、より広範囲になってきています。小・中・高校生から現役社会人、主婦、退職者など幅広い年齢階層の方々が集い、第九はもちろん合唱は初めてという方から既に何回も歌ったベテランまで、それぞれが「私の第九」を胸に、本番での「歓喜・感動」を目指しています。
 練習は、毎週金曜日午後7時30分から主にコスモホールで行っています。練習メニューは準備体操、発声練習、全体練習、パート練習からなり進度に応じてレベルを上げ、演奏会本番でのベストステージを目指しています。毎回大勢の初参加の方をお迎えしていますが、毎練習日には通常練習前に初心者のための特別のレッスン(午後7時から)が用意され、合唱は初めて、楽譜が読めない、ドイツ語が全く分からない方も基礎基本を身につけてパート練習、全体練習で歌い込み、自信を持って本番のステージに臨めるようになっており、「初心者でも大丈夫!」です。
 合唱団は、これまで全くつながりのなかった人々が「第九」がご縁でつながる新たな出会いの場であり、7月の発会式からおよそ5か月にわたる練習の日々は、さながら12月の本番でのベストステージを目指す新しい仲間との「第九の旅」です。
 今年も『「第九」を歌いたい」』とするたくさんの方々が合唱団に集い、本番での「歓喜・感動」に向かって旅を続けます。

全体練習 2023年8月11日 コスモホール大ホール

ポスターギャラリー(第1回演奏会~第21回演奏会)